Leica(ライカ)
小型カメラの原点
カメラ好きでなくとも、その名を耳にしないことがないくらいの名門ライカ。実際はカールツァイス社の一社員の提案から生まれたものでした。今日までカメラ業界をリードし続けてきた覇者は、常に新たな道を模索する転職者だったのです。

名門ライカの原点はカメラの原点
およそカメラに興味を持っていれば、その名を聞かぬことはない、名門ライカ。この小型カメラの原点ともいえるカメラの誕生は1914年ですが、この誕生の経緯を追うために、時間を少し遡ることにします。
1911年1月2日、31歳のドイツ人オスカー・バルナックがヘッセン州ヴェッツラーの光学機器会社エルンスト・ライツに入社します。同じく光学機器会社の名門カール・ツァイス社からの転職でした。
ガラス製の重い写真乾板を使用する当時の木製大型カメラは、小柄なバルナックには使うのに困難だったため、ツァイス社時代、彼は35mm映画用フィルムを使った小型カメラを提案しました。しかし、当時のツァイス社はその市場性に疑問を持ち、この提案を受け入れませんでした。バルナックはすぐにライツに転職、14年に、のちにウル・ライカ(ウルはドイツ語で原型の意味)と呼ばれる初めてのライカカメラを生み出します。
カール・ツァイス社が彼の提案を受け入れ実行していれば、ライカは生まれていなかったかも知れず、今日のカメラの世界はまったく違ったものになっていたかも知れません。
ウル・ライカは、バルナック自身のものと創始者であるエルンスト・ライツ1世へ贈ったもののみの試作機でしたが、ライツ社は25年に市販1号機であるライカI型(A型)を発売します。ライカ(Leica)という名前は、ライツのカメラ(Leitz Camera)という意味で名付けられました。
このライカが生み出した規格が、いまもカメラ規格の主流である35mmという規格の始まりであり、ライカはまさに現代のカメラの原点といえます。
なおA型という呼称はライツ社の正式な名称ではありません。I型は段階的な改良を重ね大きく仕様を変えていくため、日本などではA型、B型、C型と分類して区別しています。ライツ社ではABC型をひっくるめてI型と呼んでいますが、B型のみCompurとの注釈が末尾に付いています。しかし同じA型でもレンズやシャッターレリーズボタンなどによっても分類されています。
職工の技術の集積 ハンドメイドの重み
1930年発売
A型では固定式だったレンズを、交換式とし、また新たなカメラの道を拓きます。相互に交換可能なエルマー3.5cmF3.5やヘクトール5cmF2.5などといったレンズも発売。レンズに個別の名を与えていく姿勢には、ライカのレンズへのこだわりが見えます。
1932年発売
連動距離計を備えたライカII型は、報道写真家たちによってライカの名声を不動としました。
1950年発売
フラッシュシンクロ装置を内蔵し、バルナック・ライカ(Mシリーズ以前のライカ)の決定版として人気を博し、53年には現在も名レンズとして称される標準レンズ、ズミクロン50mmF2が登場しました。
1954年発売
50年に発売のライカIIIfは、54年にはライカM3が発売に。このレンジファインダーカメラの最高峰は、性能はもちろんのことカメラ本体の精緻な仕上げも評価されました。ライカのフィルムカメラの名機として今も定番モデルになっています。
2006年発売
このMシリーズは、デジタルカメラの時代にも受け継がれ、2006年にはMシリーズ初のデジタルカメラ、ライカM8が発売されました。
2013年発売
13年発売のライカM(typ240)ではライブビュー撮影ができるようになり、距離計に連動しない様々なレンズも使えるようになりました。それまでのデジタルライカは、フィルムが撮像素子に置き変わっただけともいえるものでしたが、ここでまさにデジタルカメラ的な長所を備えたデジタルライカが登場したともいえます。
どのモデルも高価なライカですが、機械任せにしない手作業の工程が多く、マニュアルフォーカスでのフローティング機構の組み込みなどはとても複雑な構造になっています。ボディも緻密な仕上げで、レンズにも真鍮やアルミを使っており、そういった職工の技が集結した少量生産のハンドメイド品がライカというカメラなのです。その緻密さ、堅牢さには目をみはるものがあります。
古びない名機の価値
職人の精緻な技の粋であるライカは、粗雑に扱わなければ長年に渡って使い続けることができます。また逆にいえば、そのような存在であるライカカメラのオーナーは、ライカを大切に使い次のオーナーへ渡そうとする方が多いともいえるでしょう。高価なライカですが、状態の良い中古品もあり、それらは比較的安く購入可能です。
なにより、ライカを所有し撮影することは、現行機の代わりに中古の古い機種を使うということとは、まったく違います。ライカのカメラはそれぞれの味わいをもっており、古いモデルが新しいモデルにたんに劣るということではありません。また決して現行の、とりわけ他社の、最新モデルに劣るということもありません。

ライカのレンズはそれぞれが個性を持っているため、新製品が最良で以前のモデルは型落ちで価値が低くなるということが少なく、売買価格も値下がりしづらくなっています。
ですので、ライカのカメラを新品なり中古なり高価で購入しても、大事に使っていれば、中古で買い取ってもらう際も他社製品より比較的高額になりますから、購入時高価であってもその価値は十分にあるといえます。

また、ライカの古いモデルの中古レンズは、デジタル時代にますます注目が高まっています。現行他社のデジタルカメラでも、ライカのレンズをマウントすることで、その味わいを作品に導入することができるのです。本体とレンズのセットでは高価で手が出ないライカ製品も、レンズだけならば検討しやすいといったこともあります。近年ではパナソニックやスマートフォンのファーウェイとの提携もあり、ライカの名はさらに広まるのではないだろうかと思います。
ライカのブランド力だけでなく、その技術が活かされ、その真価がさらに知られていくことを期待したいものです。そしてライカ側の製品にも、実質まったくの他社製品にブランド名を貸しただけのものではなく、提携の技術的実りがあるような、よい成果があればと願ってやみません。
LEICA製品一覧
レンジファインダーカメラ
バルナック型ボディー
1914年製作 ウル・ライカ(Ur Leica)
1923年製作 ライカ0
1925年発売 ライカI(A) 1930年までシリーズ販売される
1926年発売 ライカI(B) 1931年までシリーズ販売される
ライカI(C) ライカ(A)(B)シリーズと並行して生産される。1933年製造番号99755を最後に製造中止となる
1932年2月発売 ライカII 1933年までシリーズ販売される
1932年発売 ライカスタンダート 1950年まで製造される
1933年発売 ライカIII 1937年までシリーズ製造された
1935年発売 ライカIIIa 1951年までシリーズ販売される
1938年発売 ライカIIIb
1940年発売 ライカIIIc 1951年ごろまでシリーズ製造
1948年発売 ライカIIc
1949年発売 ライカIc
1940年製造 ライカIIId
1951年生産 ライカ72
1950年発売 ライカIIIf
1951年発売 ライカIIf
1952年発売 ライカIf
1957年3月発売 ライカIIIg
1957年製造 ライカIIg
1957年発売 ライカIg
ライカMシリーズボディー
1954年4月3日 ライカM3発売
1956年発売 ライカMP
1957年発売 ライカM2
1958年発売 ライカMP2
1959年発売 ライカM1
1963年発売 ライカMD
発売日不明 ライカMS
1966年発売 ライカMDa
1967年6月発売 ライカM4
1971年発売 ライカM5
1973年9月発売 ライカCL
1978年発売 ライカM4-2
1980年発売 ライカMD-2
1981年発売 ライカM4-P
1984年発売 ライカM6
2002年発売 ライカM7
2003年発売 ライカMP
2006年発売 ライカM8 ライカ初のデジタルカメラ
2009年発売 ライカM9
2013年3月発売 ライカM Typ240
2017年1月発売 ライカM10
一眼レフカメラ
ライカSシリーズボディー
フォトキナ2008発表
ライカS2
フォトキナ2012発表
ライカS(Type006)
フォトキナ2014発表
ライカS(Type007)
フォトキナ2014発表
ライカS-E(Type006)
フォトキナ2018発表
ライカS3
ライカフレックスシリーズボディー
1965年3月発売
ライカフレックスI型
発売日不明
ライカフレックスII型
1968年発売
ライカフレックスSL
1974年9月発売
ライカフレックスSL2
>ライカRシリーズボディー
1976年発売
ライカR3
1980年発売
ライカR4
発売日不明
ライカR4S
発売日不明
ライカR5
1988年発売
ライカR6
発売日不明 ライカR-E
1994年発売
ライカR7
1996年発売
ライカR8
2002年発売
ライカR9
レンズ交換式カメラ
ボディ
Typ701
ライカTL
ライカTL2
ライカCL
コンパクトカメラ
135フィルム使用カメラ
ライカminilux
C1(リコー製)
C3(リコー製)
CM
minilux(松下電器産業製)
minilux zoom(松下電器産業製)
APSフィルム使用カメラ
C11
デジタルカメラ
1998年 digilux – 富士フイルム
FinePix 700 ベース
1999年 digilux zoom – 富士フイルム
FinePix 1700z ベース
2000年 DIGILUX 4.3 – 富士フイルム
FinePix 4700Z ベース
デジルックスシリーズ
2002年 DIGILUX1 – パナソニック LUMIX DMC-LC5 ベース
2004年 DIGILUX2 – パナソニック LUMIX DMC-LC1 ベース
2006年 DIGILUX 3 – パナソニック LUMIX DMC-L1 ベース
D-LUXシリーズ
2003年 D-LUX – パナソニック LUMIX DMC-F1 ベース
2005年 D-LUX2 – パナソニック LUMIX DMC-LX1 ベース
2006年 D-LUX3 – パナソニック LUMIX DMC-LX2 ベース
2008年 D-LUX4 – パナソニック LUMIX DMC-LX3 ベース-1010万画素 光学2.5倍ズーム
2010年 D-LUX5-ブラック – パナソニック LUMIX DMC-LX2 ベース
2011年 D-LUX5-チタン – 日本では1,000セットを限定販売
2012年 D-LUX6 – パナソニック LUMIX DMC-LX7 ベース
2012年 D-LUX6 -G-STAR RAW エディション
2014年 D-LUX(Typ 109)
C-LUXシリーズ
2006年
C-LUX1 – パナソニック
LUMIX DMC-FX01 ベース
2007年
C-LUX2 – パナソニック
LUMIX DMC-FX30 ベース
2008年
C-LUX3 – パナソニック
LUMIX DMC-FX37 ベース
2010年7月
C-LUX3ちびまる子ちゃんモデル
– 日本で50台のみ限定販売。
V-LUXシリーズ
2006年
V-LUX1 – パナソニック
LUMIX DMC-FZ50 ベース
2008年
V-LUX2 – パナソニック
LUMIX DMC-FZ100 ベース
2010年
V-LUX 20 – パナソニック
LUMIX DMC-TZ10ベース-光学12倍ズームレンズとGPSを搭載
2011年
V-LUX3 – パナソニック
LUMIX DMC-FZ150 ベース
2012年
V-LUX 30 – パナソニック
LUMIX DMC-TZ20 ベース
2012年
V-LUX4 – パナソニック
LUMIX DMC-FZ200 ベース
2012年
V-LUX 40- パナソニック
LUMIX DMC-TZ30 ベース
2014年
V-LUX Typ 114 – パナソニック
LUMIX DMC-FZ1000 ベース
2009年 ライカX1 - ライカ初の自社開発デジタルコンパクトカメラ。APS-Cサイズの大型センサーを搭載した単焦点機。
2015年 Q
2019年 Q2